顎関節症
右と左の関節の形、大きさ、高さが違います。
皆さんは、『顎関節症』という言葉をご存知でしょうか?
以前は、顎の関節が痛いとか、『カクカク』鳴る等の症状の事を言っていましたが最近は多くの事が解明されてきて、 『かみ合わせが不良』により頭痛や肩凝り、耳鳴りめまい、腰痛、手のしびれ、さらにそれらの症状に心の問題まで引き起こし、 さらに『かみ合わせが不良』による心身症や自律神経失調症などの不定愁訴の症状をそう言うようになりました。
最近でこそテレビや新聞などのマスコミで、よく取り上げられるようになりましたが、少し前にこの様な事を口にすると、 『バカな歯医者が変な事を口にしている。』としか受け止められませんでした。 しかし、かみ合わせを治療する歯科医師が少しずつ増え、かなりの患者さんに効果が有るという事実の積み重ねによって、 今では、世の中で『かみ合わせ不良』が不定愁訴の原因の一つとして認められています。 一般医科で原因が特定できない不定愁訴のかなりの症例は、ストレスとかみ合わせ不良が原因の場合が多く、かみ合わせ治療により、 かなりの確率で症状が治癒したり軽減されたりします。ただ、完璧というわけでは無いのが、悔しくも有り、不思議でも有り、 人間の不思議さを痛感させられます。
『かみ合わせ不良』と不定愁訴との関係に疑問を持たれるかもしれませんが、『口』の位置を考えてください。
すぐ上には鼻が有り、目があります。奥の方には、のどが有り、その上に大切な脳があり、 特に松果体や視床(自律神経の中枢)と接しています。 顎関節の後ろには耳が有り、さらに頚椎で支えられ、下顎の下にはのどや甲状腺が有り、密接に関連し有っています。 これらの位置関係を考えただけで、関連が無いわけがありません。さらに口をとりまく多数の筋肉が、複雑に存在しているわけです。 偏頭痛の90%以上は筋肉(側頭筋等)の凝り(スパズム)だと言われています。 さらに、下顎は頭位のバランスをとる大切な役割を果たしています。 下顎の位置が狂う事によって姿勢が変化し肩凝りや腰痛、膝の痛み等と関連してきます。
たかが『かみ合わせ』、されど『かみ合わせ』 というわけです。
『かみ合わせ不良』によって起こる色々な不定愁訴症状は、基本的に筋肉の過剰疲労により1次的、2次的、 あるいは3次的に発生すると考えられています。 と言うのは、『かみ合わせ不良』の位置で噛もうとする時に筋肉は、本来の生理的収縮以上の収縮と 無理な方向へ収縮する事を強いられます。 また『かみ合わせ不良』によってバランスが壊れ、頭位か変化し、それを支えるために筋肉が無理をし、 姿勢が悪くなりさらに他の筋肉にまで無理を強いるようになるのです。 下顎は姿勢を決定する1つの重要なキーポイントなのです。
四足歩行をしていた動物が、長い進化の過程で二足歩行となりました。『ヒト』が直立する事により とても重い頭が上方に位置するようになりました。当然『ヒト』の重心が上方に移動し、 非常に不安定な構造を作り上げて来たのです。 赤ちゃんが初めて自分だけで立ち上がろうとする時の、とても不安定な状況を思い出して下さい。 いつの間にか直立二足歩行に慣れきって、平気でいるのですが、本来は色々な筋肉のバランスのとれた サポートのおかげで、直立二足歩行が可能になっているのです。
上方の非常に重い頭の位置で、そのバランスが壊れると、またたく間に姿勢が悪くなっていくのです。そしてそれをサポートする全ての筋肉に無理が生じ、色々な不定愁訴が起きてくるのです。
下顎は第5番目の四肢ともみなす事が出来ます。当然、左右、前後のバランスが取れていなければならないのです。 『ヒト』の祖先である四足動物は、『ヒト』の手に当たる役割を噛む事によってこなす事もあります。たとえば捕った獲物を、 自分の安全範囲に移動させる時に、くわえて移動させます。 テレビで見る、利口な犬は口で色々な業をやってくれます。 このように下顎は、可動範囲は大きくありませんが一種の手や足のような役目や存在で有ります。 また、下顎は運動をする時に、人体の中で唯一同時に2つの『顎関節』が関与するという特殊なパターンを行います。