食の問題
他の動物との『歯』の違い 『ヒト』の食性
歯を観察すると、多くの事が判ってきます。食性も基本的に判ってきます。
子供の頃の乳歯は、
野菜系前歯2 肉食系犬歯(糸切り歯)1、穀物系臼歯2で、
野菜:肉:穀物=2:1:2
の割合で食事を考えれば間違いは無さそうです。
これが、成人に近くなると
野菜系前歯2 肉食系犬歯(糸切り歯)1、穀物系臼歯4又は3で、
野菜:肉:穀物=2:1:4
になってきます。
全てが歯で決定されるのではなく、400万年とも300万年とも言われる人間の進化の歴史の中で 自然と培って来たものだと思います。 歯の形態ではありませんが、人の唾液の大きな特徴として、『アミラーゼ』という澱粉分解酵素を 持っていることです。 つまり『ヒト』は穀物が主食であると言う事の証明ではないでしょうか。
哺乳類動物は、食性を考えると『歯』の形態が決まってきます。 肉食が主体のライオンやトラは、牙が発達しており、奥歯も尖がった歯が並んでいます。 これは、食物をすり潰すのではなく、噛み切り飲み込むのに適しております。 草食の牛やキリンの歯は、繊維性の食物をすり潰すのに都合の良いように、奥歯が平らになっています。
さて、現在の『ヒト』は、食性で言えば、肉も野菜も食べるという雑食性となっております。 しかし、この雑食性というのは単に現代社会の『人』は、今何でも食べている、 という事実を表現しているだけで、本来動物としての『ヒト』は本当に雑食性なのかという疑問が 湧きあがって来ています。
進化の過程で考えると、最も近いチンパンジーやゴリラは草食が主体ですから、本来の『ヒト』は、 草食性主体なのかもしれません。 『ヒト』である『人間 』が、肉を食べるようになり、雑食性の『ヒト』と進化してしまったのでしょうか。 あるいは進化の途中で、度を越す肉食が生活習慣病などの問題を引き起こしているのでしょうか。 またあるいは、『ヒト』は草食性を維持しない限り健康は得られ無いのでしょうか。
『ヒト』の『歯』は発達した臼歯部が特徴である。
臼歯部の発達により穀物などの堅い食物を食べる事が出来るようになりました。
キリンや牛などの草食動物も臼歯部は発達していますが、茎や草などの繊維性が強い食物に適応した臼歯部の形態になっており、
『ヒト』の形態とはかなりの違いがあります。
もう一つの他の動物との大きな違いは、『小さく短くなった犬歯』です。
ライオンやトラなどにとって『犬歯』は『牙』なので獲物を捕る大切な武器であり、 肉を噛み切る大切な道具です。 草食のゴリラやチンパンジーにもある程度発達した『犬歯』が有りますが、 彼らにとっての 『犬歯』は自分を守るための『武器』としての要素が強いと思われます。
それでは『ヒト』の『小さく短くなった犬歯』は何のためにあるいは何故そういう形になったのでしょう。 その答えはよく解りません。
ただ『ヒト』を雑食性と考える人の考え方では『犬歯』は肉を噛み切るための歯だとしています。
歯科医師の私としての考えは、ライオンやトラなどの様に、動物の獲物を捕って食べる肉食獣ほどは 発達してないしまた、発達する必要も無いし、やぎや牛のようにまったく平坦な臼歯部でなく、 ある程度尖がっていて、ある程度平坦な臼歯部は雑食性を目指して進化して行く 『ヒト』の表現系かもしれないと考えるようになっています。
ただそれが35億年という、生物が進化する過程の中で、あまりにも急速に肉食が生活に溶け込みいろいろな問題を引き起こしているのかもしれません。
食性の問題で混乱を避けるために、トラやライオンが肉食と述べましたが、もう少し深く考えると、 トラやライオンは獲物である草食動物を捕らえ、まずどこから食べるかという事を しっかり観察して下さい。 するとトラやライオンはまず、草食動物の内臓を消化された植物と共においしそうに食べるのです。 つまり形は違いますが、自分で消化できない植物性の栄養素を、草食動物を通して採っているのです。 つまりある意味、雑食性をかすかに秘めているのです。 飼っているライオンやトラに肉さえ食べさせていれば彼らが満足すると考えるのは大きな間違いになります。
断食会『食を絶ちて、食のありがたみを知る』
いつも元気な竹熊先生です | 『命、一番』 |
みんなでひもじさを我慢して語り合った断食会でした。 | みんなで拝んだ2000年元旦の初日の出です |